日感アルダ

映画、ドラマ、文化、日常の果てしなき考察

韓国映画「受取人不明」で思う流行りのキルティングコートの件

2021年冬 。

最近、キルティングコートっていうのでしょうか?日本でも韓国でも下記画像のようなジャケット、流行ってますよね。

 本日はこれと、映画「受取人不明」を絡めた雑談となります。

 このキルティングコート(というかライナーみたいなもの)のことを韓国語で「깔깔이(カルカリ)」と呼びます。(깔깔하다〜ざらざらしている・ゴワゴワしているが語源。軍隊で冬のコートの下に着る厚さが1cmくらいの薄い綿入れインナーのこと)

 カルカリのことを知ったのは「セレブの誕生」(2010年)の3話の防寒コートのファッションプレゼン対決シーン。

 変哲のないウールのコートのライナーに、あえてこれを使用し、韓国軍隊の勇敢さや、寒さを凌ぐ韓国人の知恵、毛皮を使用しない動物愛護精神を外国人にアピールし契約を勝ち取るんです。

キルティングなんてどこの国にもあるんですけどね(笑)

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  カルカリをドラマで知り、こうして何年かが経ち色々な作品に触れ、このコートのブームを迎えた現在、私の脳裏に浮かぶのは、キム・ギドク監督の「受取人不明」(2001年)の主演のヤン・ドングンとその母親役の姿です。

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以下作品の簡単なあらすじ(ぷんおまとめ)

1970年代末の韓国の米軍基地村。主人公のグク(ヤン・ドングン)は黒人米兵と米兵相手の娼婦であった母親の間に生まれた混血児。そのため周りから差別を受けまともな仕事にもつけず、犬の屠殺と売買で僅かな収入を得ている。母親は米国に戻った夫に狂ったように手紙を書くが、いつも「受取人不明」のスタンプが押されて戻ってくる・・・。

〜といった設定。

主人公のグクは、会ったことがない父が置いていったミリタリーコートを終始着用しでいます。

そしてグクの母親は、そのライナーのカルカリを終始羽織っています。

 ひと昔前且つ時代設定的に朝鮮戦争後の痛みが背景の作品なのですが、こうして20年以上の時が過ぎ、まだこの戦争が集結していない現実。

 昔、日本でもミリタリー服を着用する若者にしかめっ面をするお年寄り層がいたのはなんとなく記憶にあります。

 また、ひと昔前の韓国では、戦争や軍隊生活を思い出すからこういった服は好まれい話を耳にしたことがありました。

 なんだか最近はそういった感も薄れてきて、このキルティングコートがミリタリーベースであることをわからず流行っているから的ノリで着用する屈託のない若者を目にするたびに、胸がチクリとする思いになります。

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※2022年5月25日、2021年1月2日に書いた記事をリライト更新しました!

 本日現在ウクライナとロシアでは戦争中。(2022年2月24日勃発)テレビでは軍服を着た銃を持った両国の兵士の姿が頻繁に映ります。

ライナー入の冬のコートが必要になる前に終結することを願ってやまない今日このごろです。

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この作品は、犬の屠殺や韓国基地に置かれた不安定な若い米兵と女子高生などなどセンセーショナルなシーンが沢山含まれた作品でその作風がもてはやされました。

戦争や性について問題提起したような形になっていますが、20年経った今、キム・ギドクは性暴力問題で母国から逃げる形でラトビアへ。そして2020年にコロナに感染し、亡くなってしまいました。

それを踏まえて鑑賞すると、戦争を皮肉ったり性暴力を肯定化することに意義があるといった一連のキム・ギドク作品の観方が変わってくるかもしれません。