日感アルダ

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日活映画『娘の季節』(1968年)あらすじ感想&考察〜昭和のバスガールは憧れの仕事だったのか?【疑問&雑談】

こんにちは!ぷんおです。

本日取り上げる作品は、日活映画!『娘の季節』(1968年)です。

一見、明るい感じの作品なのですが、当時の社会変化や労働条件について考えさせられる作品なので後半の考察に重きをおいて書いていきます。

(あらすじはザザザッと短時間で書きました)

それでは元気に行ってみましょう!

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作品主旨

以下、日活公式より引用:娘の季節 | 映画 | 日活

バスのワンマンカー化を中心に、若い娘たちの職場における悩みと喜びを交叉させ、明るく健康な女の表裏を描く青春大作

あらすじ

主人公の津村みどり(和泉雅子)は青森出身。明るくサッパリとした性格のバスガール。<バスガールの説明は後述>

運賃の徴収、切符切り、笛をピッピと吹きながらバスの誘導、車内清掃、、、。
古橋次郎(杉良太郎)の運転する車両で日々業務を行っており、互いに好意を寄せ合う関係。

立ち仕事の長業務だが、田舎から上京してきた同じバスガールの仲間たちと励まし合い和気あいあいと寮生活の日々。

寮長の堀込康子(芦川いづみ)は事故で片手を失った元バスガール。みんなの服装やメイク、生活指導をアレコレ細かく指導。特に意中の古橋が思いを寄せるみどりにキツく当たる。

<堀米さんは古橋の運転車両で常態的に身を乗り出したステップ乗車を行っており、トラックに接触。古橋に過失はないが、古橋は自責と同情の念が拭えず日々を過ごしている>

みどりには兄の弘一(川地民夫)がおり、同郷で同僚の光枝(日色ともゑ)と恋人同士だが最近様子がおかしい。どうやら兄は金に困っているようで避けてばかり。加えて光枝には乗客の大学生の千葉洋二(中尾彬)と新たな関係性が築かれつつあった。

お喋りでおきゃん(軽めで活発な女性の意)なユキ(水垣洋子)は、組合の持田(藤竜也)に恋心。
みどりと親しげなのを嫉妬し、古橋と堀米が二人きりで夜のバス車内で話しているのをわざと見せつけみどりを不安にさせる。

兄の金の無心が続くみどり。下宿先を訪れると、勤めの工場は倒産し家賃も滞納。それなのに毎晩バーで飲み歩いているとのこと。

バーを探し出すとかつて同僚だった小夜(笹森みち子)がホステスを。台湾人の洪さん(玉村駿太郎)といい関係らしい。

兄と別れた光枝は、千葉の子を妊娠。千葉の親の反対に遭うが、結局産むことを2人で決め、千葉は夜学部に転籍。昼間はサラリーマンとして働くことに。お産は住み慣れた寮ですることとなる。

ある日、みどりは小夜に呼ばれる。洪さんの経営するパチンコ屋で違法行為幇助をし警察沙汰に。なんとか示談にしてもらう。

兄には新しい恋人しのぶ(平尾桂子)がおり(小夜のバーにいた女)現在骨肉腫が悪化し床に伏した生活をしているが、生活費はしのぶ持ちのヒモ状態。心を入れ替え臨時社員としてデパートの運送の仕事を始めるが、その生活は長く続かなかった。

暗い顔のみどりの様子を敏感に察知する古橋だが、みどりは結婚に煮えきらない古橋と言い合いになる。

ある日の夜、みどりの兄に出会った古橋。おでん屋台で一杯やる。

ソ連のロケットの写真信じますか?知恵があるなら人間全体がもっと幸せになってもいいはずだ。

そう呟くみどりの兄は、突貫の地下鉄工事の人夫仕事。しのぶは一緒にいる時間がないと悲しむ。仕事と愛の間で嘆くみどりの兄。みどりのことをよろしくお願いします。そう言って去っていった。

古橋が結婚の決意が芽生えた時、みどりの兄がしのぶとともに二人寄り添ってベッドで永遠の眠りについてしまった。

みどりは思うのであった。
兄も道行くサラリーマンのようにまともに勤めに行きたかったはずだと、、、

光枝の子供が誕生。赤ちゃんの鳴き声に寮のみんなも難色を示していた堀米さんも大喜び。険悪だったみどりと堀米さんは微笑み合う。

バスのワンマン乗車化や時代の波によりバスガールたちの給与は更に寂しいものとなり、田舎に家族を残し一家の大黒柱の千代(草間靖子)は、激減した残業代を補填するために内緒でしていた他社バスの観光案内の内職のことが会社にバレてしまう。
そのことで鬱憤の溜まっていたバスガールたちは一丸となって抗議し千代を守る。千代はクビを免れ始末書のみで済む。

古橋はみどりと結婚を決める。
結婚してからこそが色々なことの連続で大変だけど二人明るく生きようと誓い合う。

みどりはバスガールとしても大きく成長し、元気よく「発車オーライ!」の掛け声とともに未来へ進んでいきます。

<終>

昭和のバスガールとは?

現在の観光案内主体の「バスガイド」と混同しがちですが、バスガールは「車掌」
みどりの乗務するバスは観光バスではなく、路線バスです。参考:東京乗合自動車 - Wikipedia

👇「堂堂たる人生」(1961年)では芦川いづみはバスガールではなくバスガイド役。

女性の仕事が生まれ増加したのは大正時代。ウェイトレスや店員、電話交換等々様々ですが、バスガールが本格的に活躍し始めたのは関東大震災で被害を受けた路面電車の代替えとしてバスの運行営業が拡大してからのこととなります。

素敵な制服で女性たちの憧れの職種であったようですが、前述の通り業務内容はハードで(運賃徴収、切符切り、誘導、車内清掃など)決して華やかな世界ではなかったようです。

このことはこの作品の裏側に垣間見られるバスガールの娘たちの様子から察しがつくかと思います。

劇中、ユキが自分たちのことを「若いし、貧しいし、寂しいし」というのですが全くそのとおりで田舎から訳もわからないまま上京した娘たちが肩を寄せ合って生活している様子が健気でたまりません。

退職し水商売に転じたり、田舎に帰ったり、未婚で妊娠をしたり、家族の生活を担ったり、、、そういったことが現実少なからずあり悲しい思いをした娘たちもいたと推察されます。

また、堀米さんのような乗車中の事故もあったと推察されるのですが、資料的に明確なものが見つからず、韓国の路線バスの案内嬢(女性車掌)事故例を引き合いに出しますが、満員でステップ乗車(捕まり運転で身は車外でぶら下がり)を余儀なくされ転落事故のケースはあったとの記載があります。参考:案内嬢 NAMUWIKI

ぷんおの疑問

労働組合のシーン

あらすじで端折ってしまいましたが、ワンマン乗車化(車掌の廃止)に伴いバスガールたちも自身の行く末や、賃金、労働環境等に不満を声にするシーンがあります。

やんわりと描かれていましたが、メイクや髪型スカート丈、ヒール高さの等の身だしなみチェックの中で(オシャレしたい年頃なのに厳しかったようです)男性社員のいる前でボディータッチのシーンがあります。(ユキもおっぱい触られたと証言)

日本ではどういう感じなのかわかりかねますが、韓国のバスガール作品を観ていると(再度の韓国対比お許しを)運賃の着服がないかの調べが兼ねられていたボディータッチシーンが多々あります。(※韓国では当時この手のエロ混じりの作品全般をホステス映画というそうです)

👇韓国のバスガール作品。『娘の季節』に酷似したエロス版な感じ。
Girl Going to the City (도시로 간 처녀)  1981年
リンク先は『한국고전영화 Korean Classic Film』フル視聴できますが日本語字幕なし

話を戻します。

当時(作品は1968年 昭和で40年当たり)から交通手段に変化があり、地下鉄の発展、マイカーブームによりバスの収入運賃が伸び悩み&路線減少。車両の進化に伴いツーマンからワンマンへ。と移行していきます。

劇中、存続維持派の組合長の藤竜也と古橋次郎(杉良太郎)は意見が割れます。古橋はいずれそうなる波と共栄しようのようなことを訴えていました。

みどりの兄さんのこと

この頃(作品前年)の経済の様子は厚生省のページに詳しく書いています。参考:昭和42年労働経済の分析|厚生労働省

この時代の話、ホントよくわからないのですが、43年あたりから「ホワイトカラー職種」を良しとする社会的風潮になってきたようで(学歴重視)採用も中卒から高卒へシフトしていたようです。参考:昭和43年 年次経済報告 国際化のなかの日本経済 第2部 国際化の進展と日本経済内閣府ホームページ)

みどりの兄さんに適応能力がなかったのか?学歴で弾かれたのか?よくわかりませんが、兄さんのやるせなさ伝わってきます。

1960年代前半の石原裕次郎が出演してる作品の多くは、学生時代を謳歌したりとか、カメラマンとか記者とかカッコいい仕事ばかりですが、それは憧れで一般の世になきだったんだな?との認識でいいですよね?

・・・裕次郎世代のお兄さんたち、どういう感じだったのでしょうか???
コメント欄で教えていただけると嬉しいです。

ぷんおのまとめ

この頃の日活作品は上り調子の経済で夢があって楽しく息抜き的に観ているのですが、知らない風習文化やレトロな間接広告がたくさんあり色々調べたりしていくうちにド壺にハマりがちです。

観た作品は恥ずかしさを偲んで感想や疑問をなるべく書いて行きたいと思っていますので当時を過ごしたお兄様お姉さま、ぜひぜひその様子を教えてください!

〜以上となります。小学生レベルの作文となりましたが、お読みいただき感謝申し上げます。気軽にコメントください!

作品情報

公開:1968年
監督:樋口弘美

※キャストはあらすじ欄に一括まとめとなります