日感アルダ

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『アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり』ネタバレ感想&考察〜中絶権問題を考える

こんにちは、ぷんおです!

本日は『アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり』(2012年・韓国)の感想です。

ごくごく普通のお仕事ドラマのようですが、「人工妊娠中絶は罪なのか否か?」についての問いかけも含まれているような気がします。

・・・ということで、書きはじめます。

視聴するには?

配信してるところ少ないようです。今回はAmazonプライムビデオで視聴しました。dTV、GyaO! でも扱いあるようです。

Amazon.co.jp: アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまりを観る | Prime Video

相関図

引用元: KnTV

登場人物&設定

◆ファン・ジアン(キム・ソナ)

37歳。シューズメーカのトップデザイナーであり理事職も務めている。常に人生を勝ち続ける「アパゴル(알파걸)」(※α-Girl:学業や運動、リーダーシップなどのすべての面で男性に劣らないエリート女性のこと)。
子供の頃から大好きな靴を仕事にするためシューズメーカーに入社(財閥系会社)。寝る間も家族や恋人との時間も全て仕事に投入し、成功を勝ち取り今の座に君臨しているが、望まぬ妊娠をしたことで人生計画が予想外の方向に動き出す。
ひとり娘。父親に似て頑固で口数が少なく人付き合いが下手でワンマン。更年期特有の症状も加わり更に部下や周りに激しくあたりがち。

 

パク・テガン(イ・ジャンウ)

27歳。高卒。父とふたり暮らし。明洞で父の作ったブランドコピー靴の客引きセールスをしている。母親は産まれた直後に失踪。不幸な生い立ちだが、コミュニケーション能力に長けており人の懐に入るのが上手。コピー靴の摘発で父をかばい警察沙汰になり金銭的に困窮。一発逆転のためにジアンの会社が主催する靴リフォームコンテストに賞金を狙って応募。見事優勝を勝ち取りそのままスルッと会社に入社する。
元童貞。高卒がコンプレックス。初体験は酔った勢いで一夜を共にしたジアン。

 

◆チョ・ウンソン(パク・ゴンヒョン)

30代後半の独身主義のちょっと変わった産科医。見合いで知り合ったジアンに興味を持ち、2人共通の困りごと(家族からの見合い攻撃)を回避すべく偽装恋人になることを提案。ジアンに好意をよせていくが未婚の妊娠を知り、医師としての命を守る気持ちとひとりの男としての気持ちの間で揺れ動く。実家は病院経営。

 

◆ヨム・ナリ(イム・スヒャン)

財閥会長の愛人の娘。米国留学を経て、系列会社であるジアンの務める靴メーカーに副社長として着任。義理の母である会長夫人に可愛がられているジアンに敵意を燃やし、社長の座を巡って競い合う。亡き実母は靴デザイナー。孤独なところを優しいテガンに癒やされる。実はジアンが憧れで尊敬の人だけどツンデレなので秘密にしている。ジアンにそっくりな靴好きで気が強く仕事に情熱を持っている。

 

◆足かせちゃん

ジアンのお腹の中の子供のあだ名。(韓国語でなんといってたか忘れてしまいました)

あらすじ

トップデザイナーかつ会社で理事職を務めるバリキャリのジアン。

父の古希の祝いを計画をしたのにも関わらず仕事で出席が出来ず大喧嘩喧。
その夜、ひょんなことから出会った年下男子のテガンと一夜を共にする。

母親に見合い話を押し付けられても、早期閉経の疑いがあると医師に警告されても、今のステータスと大好き仕事さえあればこの先心配なんてない!ひとりでも大丈夫と思っていたところ、まさかの妊娠。気づいた時には既に8周目。

アクシデントでできた望まぬ子。しかも父親は自分より10歳も年下の学歴も経済力もない青年。人生の失敗&邪魔であると中絶するつもりだったが、自身の妊娠のチャンスがこれが最後かもしれない、、、となかなか決断ができない。

これまでの人生全てを自分で判断し決断して生きてきたジアンではあったが、見合い相手の産科医のウンソン、離れて暮らす父と母、シングルマザーの親友ジュニやその可愛い娘、職場の部下のシングルマザーの部下、そして子の父であり自分の部下となったテガン、、、様々な人々との人間関係や出会いを改めて見直していくうちに響産むことの確固たるメリットは見いだせないが、産んだ先に広がる世界が見てみたい”と思うようになる。

出産を決意し妊娠を公表をしたけれど、お腹の中の赤ちゃんとともに働くことは体力的にも負担が大きく未婚で妊娠ということへの社会的な風当たりは想像以上にシビア。これまで自分を推してくれていた会長夫人に“はしご”を外される形で夢であった社長の道は絶たれてしまう。しかしこれまで天敵であった部下のナリ(会長の妾の子。実母は他界したが優秀な靴デザイナー、現母の会長夫人との関係性は上手く行っていない)のどんでん返し発言がジアンを社長に就任させるが、ジアンは途中半ばだったプロジェクトを完了させるとナリにすべてを委ね退社してしまう。
その後、先に退職したテガンが職人であるテガンの父と立ち上げた靴ブランド会社に履歴書を持参。そこで産気づいてしまい、、、

ハッキリしないラストシーン

※ラストネタバレ

作品を見た方ならおわかりかと思いますが、帝王切開で出産したジアンは、まだ麻酔が切れておらず眠ったままの夢の中。

彼女の夢の中では、笑顔のテガンと足かせちゃん。バージンロードのように道が広がっており、その両脇には今まで作った自身が手掛けた靴が並べられている。その道の先の真ん中には小学生の頃はじめて作った靴とテガンが作ってくれたカップルシューズが置かれている。

その道をジアンは進んでいく。

〜といった全く楽しそうではなくどことなく不安感が。典型的な視聴者に判断を委ねるエンディングだが、親になること&生まれてくることの重みがあって個人的には好印象でした。

韓国における中絶問題

サラッと調べたことを記載しておきます。

韓国には長らく「堕胎罪」が存在し、中絶は法律違反でしたが、2021年1月1日から非犯罪化となりました。
この作品が作られた2012年にも論争があったようですが、作品と関係があったかは不明です。

👇BAZAARの記事

米国における中絶問題

この記事を書いているのは、2022年11月13日。
米国で行われていた中間選挙の結果は民主党が勝利しました。

勝因には様々な要素が考えられますが、この選挙で論争になったのが「中絶権問題」。

トランプの所属する共和党は、キリスト教プロテスタント福音派の支持者(宗教右派。保守派)が多く、人工妊娠中絶に否定的な考えを持っています。

各州で中絶が合法なのか違法なのか異なる話はみなさんもなんとなくご存知かと思います。

これが良いのか悪いのか私には答えがでませんが、韓国でこの問題が論争となり運動のきっかけとなった「ソウル江南トイレ殺人事件」(2016年5月。詳細⇒Wikipedia)の女性の被害を考えると、「聖書の教えはこうなんで( ー`дー´)キリッ‼」というのも個人的には違うような気がします。

この作品のジアンは、ひとりで子を養えるスキルと財力があったため産む決意をしましたが、お腹の子が父であることをテガンに告げるのにかなり迷いがあったのも事実ですし、やはり難しい問題だなと改めて考えさせられました。

ぷんおの感想

ということで、ジアンの望まぬ妊娠問題にフォーカスして書きました。

全体の流れ的には、社内覇権闘争があったりなど割と普通です。

華やかな企業タイアップは「ジニー・キム」(韓国の靴ブランド)とファッションブランド「BLUPEPE(블루페페)」の全面協力なのですが、、、

みなさん最近、ハイヒール、履いてらっしゃいます???

ということで、放送から12年。働く女子の鎧的なハイヒールは死滅。

こういう感じで価値観は変化していくんだなとつくづく感じました。

〜以上となります。本日もありがとうございました。

基本情報

原題:『아이두 아이두』
放送:2012年5月30日〜7月19日(MBC)全16話
原作は漫画とのことです。
👇公式ホームページ