日感アルダ

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「将軍様、あなたのために映画を撮ります」あらすじ・感想〜

こんにちは。ぷんおです。

本日は「将軍様、あなたのために映画を撮ります」というドキュメンタリー映画のあらすじ・感想です。

金正日が映画好きだったという噂は耳にしたことがあるのですが、他国から映画関係者を拉致をしてまで作品を作りたかったという執念に驚きました。

金正恩の所有するビデオテープはなんと2万巻もあったそうですよ。

作品を観るには?

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基本情報

題名:「将軍様、あなたのために映画を撮ります
原題:The Lovers and the Despot
配給:2016年2月3日
監督脚本: ロス・アダム、ロバート・カンナン

キャストとその背景

チェ・ウニ(崔 銀姫)

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1960年から70年代に活躍した韓国の人気女優。
50歳の時、映画監督の夫 シン・サンオク申相玉)が不倫をし離婚。
そのスキャンダラスな内容で人気は失速。金銭的に窮地に追いこまれ、甘い話に乗るが相手は北朝鮮工作員
拉致され気づいたときには船の中。平壌南浦港では金正日が笑顔で待っている。
映画が好きな金正日は、自分の国でも素晴らしい映画を作りたいと、ウニに映画出演をを持ちかける。

シン・サンオク申相玉

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韓国の人気監督であったが、軍事独裁政権下で思うような自由な作品が撮れなく八方塞がり。
世間からウニの疾走事件についての疑いをかけられ、相談したビジネスパートナーの正体は北朝鮮工作員で拉致されてしまう。

拉致された後の二人の生活

二人は金正日の誕生会で再会し、その後再婚。
持っていたカセットレコーダーで北朝鮮で関わる人々とのやり取りを密かに録音しながら映画製作に没頭。
拉致されている身であるが、韓国で思うように作れなかった作品を撮ることにやりがいを感じる。
映画に造詣(ぞうけい)が深い金正日は、二人の自由を尊重し映画を撮らせる。
その結果、モスクワ映画祭で受賞という功績も残し、2年3ヶ月で17本作品を残すこととなる。
このことをきっかけに二人は海外に行く機会が増え、オーストラリア滞在中にホテルから脱出に成功。米国大使館に掛け込みアメリカで生活。
1990年に韓国へ帰国するが、韓国映画業界は当然受け入れてはくれなかった。

ぷんおの感想

カセットレコーダー、どこから出てきたんでしょうか?よくバレなかったですよね。

拉致時に手元にあったというのも北朝鮮で手に入れたというのもどちらも無理がある。

テープに録音された金正日の肉声は、映画に対する情熱的な思いで良い印象を受け、一種の印象操作かと思えてしまう。

ラングーン事件、第十八富士山丸事件、大韓航空機爆破事件などと様々な国際テロ事件を引き起こした人物なのに、恐ろしいことにプラスの印象を持ってしまう自分がいる。

北朝鮮ゴジラみたいな怪獣映画「プルガサリ」(1985年)。監督はサンオク。
日本から製作陣を招聘し多額の予算をかけて作ったそうで、サンオクはこれを撮った後に亡命したとのこと。

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軍事政下で思うように作品が撮れなかった = アカ(左派思想)という解釈になってしまうし、当時は朴正煕権下。亡命したときの大統領は盧泰愚

北朝鮮で優遇され、北朝鮮だからこそ自由な作品が撮れ、もうまったくのプロパガンダ要員にしか思えない。

当時まだまだ貧しかった韓国での生活より相当いい暮らしをしていたのは間違いないので、映画界どころか国民からも批判が出るのは当然。私が当時の韓国民だったら同じように批判をすると思う。

北朝鮮の拉致のおぞましさや金正日の特異性、二人の数奇な運命などが描かれた作品なのに、そのことより気になるのは「金正日のおすすめ映画はなんだったのだろう?」「映画での国際交流についてどう考えていたのだろう」という金正日に対する好奇心。

もしかすると金正日はこうしてドキュメンタリーになることを想定していたのかもしれないと思いました。

〜以上となります。
本日もありがとうございました。