日感アルダ

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「世界で一番いとしい君へ」感想・あらすじ考察〜ありのままに感動したい作品

どうも!ぷんおです。

今日の作品は、韓国映画「世界で一番いとしい君へ」です。

「先天性早老症」という難病で16歳にして身体年齢が80歳を超えるという青年アルム。17歳でアルムを授かり結婚をしたまだまだ幼さの残るデスとミラの夫婦が主人公。

作品を観るには?

Amazon prime video(アマプラ)定額見放題で視聴可能です。(2022/05/22現在)

基本情報

0202-12-29題名:「世界で一番いとしい君へ」
原題:「두근두근 내 인생」
公開日:2014年9月3日(韓国)
監督:イ・ジェヨン
脚本:キム・エラン、イ・ジェヨン、オ・ヒョジン、チェ・ミンソ
原作:キム・エラン
キャスト: カン・ドンウォン、ソン・ヘギョ、チョ・ソンモク、ペク・イルソプ他

あらすじ

17歳という若さで子どもを授かったデス(カン・ドンウォン)とミラ(ソン・ヘギョ)。は産むことを選択し高校を中退。互いに抱いていた夢(テコンドー選手とアイドル歌手)を諦め結婚し、生まれてきた難病の息子とともに明るさを失わず暮らしている。

高校時代のミラの同級生のテレビプロデューサーの提案で、募金番組への出演が決まり放送。視聴者からの大反響で募金も最高額を記録し、放送の翌朝から今まで閉ざされた生活をしていたアルムとデスとミラの生活に変化が訪れる。

ある日、一通のメールが舞い込む。
差し出し主は同じように病気を患っている16歳の少女ソハ。
最初は他に送られてくる“からかい”のメールと疑っていたが、その文章に心を打たれ、両親の恋愛物語と思いを重ね、その会ったことがない少女に思いをはせながらメール交換とともに恋愛小説を書きすすめる。

病状が悪化するとともに、治療費を工面するためアルバイトに励むデスと疲れを隠せないミラの様子を察し番組の続編を快諾するアルム。

番組の製作が進んでいく中で、アルムのメール相手が少女ではなく、自称映画監督の男が自分のシナリオづくりのためにアルムを騙し利用していたことがわかる。

その話を立ち聞きしてしまったアルムは絶望し、生きることに自暴自棄になり、、、

ラストはこんな感じ

騙されていたことを知るのですがそのことは両親に言わずただただ反抗をします。

デスはアルムの態度が急変したことに困り果て、結婚前に家を飛び出したまま一度も会っていない父の元を訪れるのですが、喧嘩別れをした後も自分を想い陰で気遣ってくれていた姿を目の当たりにして、父の偉大さを痛感します。

そして、アルムがメールの事実に気づいているのにそれを隠し、自分を気遣ってくれていたことを知り、息子の優しさと成長ぶりに涙します。

晦日、何度も書くのをやめようと思いつつ仕上げた“父と母の恋愛物語”の小説を2人にプレゼントするのですが、意識が薄らいでいき車内に嗚咽が響きます。

・・・満開の桜。再びテレビ局のカメラの前。アルムは出来上がった詩「アボジ」を読み上げます。

父さんが尋ねる 生まれ変わったら何になりたいかと
僕は大きな声で答える
父さん 僕は父さんになりたい
父さんが尋ねる もっといいものがあるのになぜ俺に?
僕は照れて小声で答える
父さん 僕は父さんになってまた僕を生みー
父さんの気持ちを知りたい
父さんが泣く 

ぷんおの考察・感想

アルムの病気が進行するにつれ小説も進んでいくのですが、前半のロマンチックな夢恋物語の展開は後半に差し掛かるにつれ、両親が青春よりも自分を選んで必死に生み育ててくれたことへの尊敬と感謝へと現実的なものに変化していきます。

〜ラストは自宅療養に切り替えアルムの望みを叶えるために(除夜の鐘)デスはタクシーを運転するのですが、その中でアルムの意識が薄れ、車内にはデスとミラの嗚咽。
その後、3人で春を迎えるのですが、それがアルムの小説の続きなのか?実はアルムは生きていたのか?と視聴者に選択を委ねるような終わり方になっています。(ミラのお腹の中の新しい命が宿るのもそんな感じ)

〜アルムの詩「アボジ」は、ソハになりすましていた義足の男とのシーンで出てくるのですが、“〜照れて小声で答える・・・”で終わります。
この段階では、アルムは大恋愛の末に自分を生み育ててくれた強い父への憧れをもってこの詩を作っており、春になって加えられた後半3行には、自分も長生きをしていずれは父になり実際にその気持を知ってみたいというような(両親の恋愛物語に憧れたように)感じにも捉えられました。

“父さんが泣く”という終節が、弱くて泣くのではなく自分の成長を喜んで泣いているといった感じでしょうか?

この詩を受けたアボジのデスも、ひと回り大きくなってたくましくなったような気がします。

・・・・・

カン・ドンウォンとソン・ヘギョ(美男美女)のキャスティングがどうかと思ったのですが、難病の息子と若き夫婦の葛藤の他に、介護で揺れる隣のおじさん、テレビ番組にしたはいいが一抹の罪悪を感じるプロデューサー&脚本家、主治医、デスの父、義足の男、、、と、かなりヘビーな内容となっているので、これが本当にヤンキー感あふれるカップルだったらしんどすぎて直視できない仕上がりになったと思うのでキャスティングはこれで正解と思いました。

〜ある意味作品を観る私たちも、アルムの出演したテレビ番組の視聴者の立場と同じかと思います。
24時間テレビの内情のように製作意図を深読みすればキリがありませんが、ここはひとつなにも考えないでティッシュペーパーを横に置いて号泣の準備してから観ていただくことをおすすめします。

原作本が話題に!

2021.02.17 配信 SBS ニュースにこんな記事がありました。

同作原作の小説翻訳版が、米国のAmazonで「今月の小説」(2021年の2月度)に選ばれたのこと。
日本でも「どきどき僕の人生」とのタイトルの翻訳版があるようです。

本のレビューサイトを見る限り高評価を得ているようです。
最近「韓国文学」がブームのようなので読んだ方もいるかもですが、原作を読むことで映像作品の感動の幅も広がりますのでご興味のある方は是非!