日感アルダ

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キム・ギドク監督「弓」〜あらすじ・感想【考察】

船、弓矢、水(海)、三色(赤・青・黄色)と、キム・ギドク作品に多様されるモチーフがここでも出てきます。

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基本情報

題名:「弓」
原題:「활」
公開:2005年5月12日(韓国)
監督脚本: キム・ギドク
キャスト:爺さん/チョン・ソンファン、少女/ハン・ヨルム、青年/ソ・ジソク 

概要

海に浮かぶ漁船で暮らす少女と老人。どこからか連れてきた少女を育てながら老人は少女の17歳の誕生日と共に訪れる結婚の日を夢見ていた。しかし釣り客としてやってきた大学生の青年に少女は心を奪われ、その日から少女と老人の間に溝が生じはじめる、、、

ぷんおの注目ポイント

・今まで囲われた世界で生活してきた少女の初恋と性への目覚め。
〜絶大な信頼を抱いていた爺さんを疎ましく可哀想に思うようになる。

・若さ溢れるの青年がもたらす新しい息吹。
〜爺さん古臭い楽器が奏でる音しか知らなかった少女にヘッドホンで音楽を聴かせる(メタファー)

・少女と結婚しようと目論んでいた爺の寄る年波に勝てなさと悪あがき。
〜少女との結婚は近づいてきたが、青年の登場と老化を認めざるを得ない(的を外す、エンジンがかからない〜メタファー)

・熟年ならではの技にはまだまだ及ばぬ若さ
〜爺さんの操舵できる船が青年には動かせない。

・爺の引き際
〜結婚の儀式をしてみるのだがその後船から海にダイブ。
(これがやましい行為なので爺は命を消したのか?少女を青年に託せると認めダイブしたのか?)少女が乗った小舟は自然と青年の元に流れ着く。

・少女でも女はオンナ。
〜誰もがひれ伏す若い女にしか放てない色香。そして完全な女性に成長。

気になったシーン

・青年が爺に「捜索願い」のチラシの突きつけ。
〜センセーショナルなんだけど個人的にインパクトが薄かった。

・爺の悪あがきと悲壮
〜カレンダーの改ざん、婚礼用具を急いでかき集め、去りゆく船にロープを首に巻き自殺未遂。

・爺と少女の父と娘のような関係
〜娘に彼氏ができて父親を疎ましく思ったり、不憫になったりする感じに似ている

・耳打ちシーン
〜爺は青年に耳打ちをするのですが何を言ったのか不明。婚礼の小舟で少女の頬にキスをしているようだが耳打ちにも見える。

・ラストの矢が刺さってるのと喘ぎと鮮血
〜性的行為ののメタファー。処女

まとめ

キム・ギドクの作品、何本か見てみたのですが、人間のうちに潜む抗えない性欲(時に残酷)と、キリスト教的思想が絡んでいるようです。(キリスト教思想云々は本人&評論家はそう言っているようですが、2本3本と複数観ていくうちに、聖書を己の都合の良い方向に解釈したカルト教団の教祖感が増していきます。※個人感想)

メタファーが多く考察するには格好の作品群なのでしょうが、個人的にはそれほど深追いしたいと思わないんで軽めに箇条書きにしました。

〜じいさんの年季の入った釣り船が沈んでいく一方で、青年が操舵する小船がスピード上げて勇ましく進んでいく対比が全てかな?と思いました。深い意味がありそうであんま意味ない作品かと思います。