日韓アルダ

近くて遠い国!韓国文化を映像から考察〜ジャニーズ文化もウォッチ

「バッカスおばさん・おばあさん」の全貌と時代推移【考察まとめ】

先日「バッカスおばさん」の記事を見て、ある変化に気づきました。表記が「バッカス“おばさん”」と「バッカス“おばあさん”」が混在しているんです。

オバサンお婆さんです。

韓国のネット記事を読んでいくと“아줌마(アジュンマ)”から“할머니(ハルモニ)”にシフトしているようです。それだけおばさんたちも高齢化してしまったということですね。。。

ハッ!と気づくと「バッカスおばさん」20年分の関連記事をチェックしていました(笑)

せっかくなので、おばさんたちの誕生から現在までの20年間の様子の具体的推移を、記事を元にまとめてみたいと思います。

※参考データは2001〜2021年の20年間のウェブで閲覧可能の記事となります。

バッカスおばさんの定義

手提げバッグに滋養強壮ドリンク「バッカスD」(1967年発売)などの飲料水を入れて持ち歩き、高齢者を対象に売春行為を行う40代以上の女性を指す。装いは年齢の割には派手めで厚化粧。

近年は何も持たないおばさんや代わりにバイアグラを勧めるおばさんも出没。

代表的な生息場所は若い女性なら商売をしない屋外。おじいさんの生息する鐘路(タプコル公園、宗廟公園などがある街)。その他、冠山や南山などのソウル各所、地方都市の公園までにもおばさんが増殖している。

公園で交渉後、近隣のモーテルへというのがパターン。

バッカスおばさんの進化型として、登山客に飲み物を薦める「コーヒーおばさん」や、お喋りやデートに重きを置く「リスおばさん」「ふくろうおばさん」といった癒やし系が登場。業務内容は基本バッカスおばさんと同じ。

バッカスおばさんの時代推移

戦後の売春街とバッカスおばさん登場(1970年代)

70年代に入りバッカスおばさんが「社稷(サジク)公園」(鐘路)に登場しはじめたとの記載記事がありましたが、詳細は不明です。

鐘路は、王朝時代から栄える歴史ある商業街。タプコルをはじめ多くの公園(文化遺産)があり芸術の街でもあります。
この辺(鐘路〜南大門)には巨大な私娼街(非合法)あったそうなのですが、60年代末に浄化閉鎖され、その跡(桶屋的建物含め)に貧民や日雇い労働者が勝手に住み着いてしまい、歴史文化と貧困が入り乱れた不思議な雰囲気が形成されていったようです。
韓国人一般男性向けの風俗店というのは80年代に入ってようやく増え始めたようで、それまでは水商売のホステスさんが娼婦を兼ねていたり、床屋や喫茶店(韓国の場合はチケットタバン)がサービスの延長線に売春システムを組み込んでいたそうです。

ヤクザの縄張り管理や法の取り締まりがなければ、個人女性も新規参入しやすいわけで、旧売春街という土壌に誕生したドヤ街(敦義洞)と遊女崩れや貧困女性は持ちつ持たれつの関係性。元々鐘路は知識人の集まるところで茶房も多く、売春が恥ずかしいと思っているおじいさんたちもそういった流れに乗ることができる。

そういった娼婦を買うことにためらい(金銭や羞恥)のある男性に、飲食物を勧め売りつつ様子をプラスアルファ(売春)伺うことを生業とする積極的な女性がぐんと増え、その中に持ち運び等の利便性や利ザヤから当時発売が開始されたバッカスを売り歩く女性が出現。高度経済と男性たちの労働力と下半身の元気さの総称として「バッカスおばさん」が誕生したかと思われます。

※画像はバッカスエフ。パッケージはリポビタンDと今もなお酷似のままのようです。

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風俗産業大ブーム(1970〜1990年前半)

70年代から米軍関係(基地村含む)や日本人観光客相手(キーセン観光)の国家総出の外貨稼ぎの国営売春が盛んになります。80年代に入り夜間外出禁止令も緩和され民主化に向かう波に乗り韓国人の一般男性向けの性風俗産業も増え始めます。
1988年にソウル五輪が開催され韓国経済は絶頂を迎えます。

IMF通貨危機時代(1997〜2007年)

バッカスおばさん」と固有名称で呼ばれニュースを賑わすようになったのは90年代からのようです。

目立つ活動の場は「南山」エリア。

一般的には、“タクシー運転手”目当ての売春がはじまり”との記載が多いですが、走行中の車両や停車中の一般ドライバー、南山を訪れる一般客(車ナシ)もターゲットであったとのこと。

周囲にモーテルがないので、車中,暗がり,路地,トイレ,建物の階段など場所を移動ぜずチャチャッと業務を遂行できる場所…というのが現代の公園系のおばさんたちと大きく異なるポイント。

公園系、南山系の他に、高速道路のパーキングエリアのトラックやバス運転手ターゲットの「コーヒーおばさん」も出現。(後述の登山客相手のコーヒーおばさんとは異なる)
その他、肉体労働者が多く集まる現場系を商売の場所にするおばさんもいたようです。

おばさんの年齢は40代〜60代(今ほど高齢な感じではない)。未亡人,離婚者,シングルマザーなどの娼街では稼げない高齢者や社会的弱者が中心。

1997年の通貨危機による景気下降と2004年の法改(性売買特別法)への動きが風俗街の外に女性を集めることになってしまい、文化遺産のある市民公園がおばさんとおじいさんの売春の巣窟となるとの住民反発運動が勃発。

その高齢売春システムのニュースを知り、稼ぎにくる一般女性と売春を目当てにやってくる高齢男性が更に急増していったとのことです。

韓国通貨危機(2008〜2009年)

「タプコル公園」と「宗廟公園」の二強時代。

生活困窮高齢女性と孤独な高齢男性の需要と供給がマッチし、おばさんとおじいさんが更に増え公園は年寄でカオス状態。

警察の取り締まりも更に目立ちあからさまなおばさんは減ったように見える(見えるだけ)。

公園で話をまとめ、周囲にバレないように(バレていますが)互いに距離をとりながら近隣のモーテルへGO!となります。

交渉時も、売春料金(花代)を露骨に提示するのではなく、バッカス000円の他に、餅(トック)000円などの異なった品目を提示し、お触りのみ、疑似性行為、本番など区別している話もありました。

ちなみにこれは、南山系おばさんや高速道路で活躍する「コーヒーおばさん」が多く使っている価格提示のようです。まあ、車中とか野外でのサービス業務なので、区分けして短時間で人数稼ぎたいのは非常に納得です。

バッカスおばさんの存在を世界が報道(2014年〜)

BBCニュースを受けた産経新聞(2014年)

●国内ニュースで大々的に問題化(2015年)

●映画「バッカス・レディ」公開(2016年)

シンガポールのテレビ局(2017年)

●宮根さんも報じる(2018年)

コロナより貧困が怖い!(2021年)

●コロナ禍でおばさんの生活がますます苦しくなる

性病やコロナ感染より「お金」。

前述の「リスおばさん」や「ふくろうおばさん」とお付き合いするおじいさんは、おばさんとの待ち合わせの際に、近くの露天で(露天商もそれ向けに出店)ブローチなんかのプレゼントを準備したり、おばさんたちもおめかしをして2人で食事やデートのみを楽しむこともあるようなのですが、この今のタプコル公園に集うおじいさんとおばあさんの関係性はなんといって良いのやら、、、

日本で例えると、西成のドヤ街。。。池袋駅西口。。。そこに抱くイメージと同じです。(個人的思い)

こうして調べていたら気づかない間に“オバサン”だった「バッカスおばさん」が“お婆さん”になって「バッカスおばあさん」となってました。

調査を終えての感想

売春が蔓延化しているので、20年間のどこを切り取っても高齢者売春の記事は見受けられました。

毎年ごとに「バッカスおばさんが◯倍に増加」との増加表現記事があるので、頭がマヒしてくるし、闇深さにやられ気持ちが悪くなってきました。

日本でもコロナ禍で「高齢街娼」が増えているようなのですが、たちんぼ(待機型)や「おにぎりおばさん」「100円おばさん」などのカンパを求める“消極的体制”の売春婦や物乞いの話題が目立ち、韓国のおばさんたちのスタイルとの違いに今更ながら気づきました。

高齢者の性問題についてはどの国も深刻で、日本でも韓国も男性高齢者が自分より弱い児童幼児や精神や知的に障害がある女性に向けての犯罪が見受けられました。

韓国は社会福祉が充実していないので公園に集いますが、日本の場合は高齢者施設があるのでお年寄りの寂しさが紛れますが、消えぬ性的欲求を介護士さんに向けるというケースが深刻との悩みを知りました。

最初は「バッカスおばさん」への、ぼんやりとした疑問で調べはじめたのですが、高齢者の孤独や貧困、性事情の存在を改めて認識しました。

・・・ちょっと棒読みになってしまいました。

最後にもうひとつまとめ、、、

バッカスおばさん目撃談!

確か2010年あたりだったと思います。

何かのキッカケで「バッカスおばさん」の存在を知り、韓国旅行で「宗廟」へ訪れるというよりかは、おばさん達がどうやって活動しているか観察しに行きました。

まず驚いたのが、外大門から入ると次の入り口までのだだっ広いコンクリート広場一面に「碁盤」が置かれ、おじさんとおじいさんがすし詰めで碁を打っているのです。

この画像の木の部分が道路沿いとなります。現在は改装されているようです。

宗廟市民公園|仁寺洞・鍾路(ソウル)の観光スポット|韓国旅行「コネスト」f:id:punwo:20210831214054j:plain

 肝心のおばさんたちは、おじさんたちが碁を打っている傍ではなく、木陰のベンチ付近。なにやらおじさんたちと話しているのですが、違和感しかないのです!

場にふさわしくないおばさんの派手な装いが!!!

韓国のおばさんは往々にして派手なのですが、バッカスおばさんたちはひと昔前の派手さで化粧も濃い。遠目からもわかるくらいに。

そしてやはりバッカスを片手にもっており、それを飲みながら話すおじさんもいました。

その時居たおじさんたちは小綺麗で、おばさんたちも一見は45〜60代の若作りと言った感じで、現在報じられているような孤独や貧困さは全く感じられず、どちらかというと、“高齢男女のちょっと危険な恋愛の駆け引きの場”といった感じでした。

この辺が時代の移り変わりの象徴かと思われます。

個人的にはおばさんより、囲碁をするおじさんの数が衝撃!!!

今も鮮明に覚えています。

現在のバッカスおばさんとおじいさんの生態はわかりませんが、貧困や孤独の中に少しでも楽しいことがあることを祈ります。

地下鉄車内や構内、路上で勝手にモノを売る人がいた

(2021/09/27追記)
20年近く前、韓国の地下鉄車内で「物売りおじさん」に遭遇したことがあります。
今見たくインターネットも普及していないので、頭のおかしな人が来た!と恐怖で一生懸命目をあわせないようにした思い出があります。私達からみるとビックリでしかない“公的場所”での声がけ販売行為は社会に溶け込んでおり、それを売春のキッカケにして儲けはじめた女性の様子をみて真似しはじめたのが、バッカスおばさんのはじまりなのかな?と考えたりもしました。

下記画像は「油っこいロマンス」(2018年)のワンシーン。f:id:punwo:20210928014353p:plain
このおばあさんは、街頭や飲食店(生き別れの実の息子の店)でガムを売る(押し売り)のが日常。自分の弱い立場を利用し、ガムの何倍もする金をせしめるという点では“物乞い”と大して変わらない。自分の不幸な生い立ちを語り同情を買いガム売りおばさんと同じような手で交通費をせしめる高齢者の話を書いている韓国の方のブログもありました。

おばあさんにお金をたかられた思い出

韓国旅行で路上で何かを押し売りされたことはありませんが、路上でおばあさんが寄ってきて“お金を恵んでくれ”と流暢な日本語でお金を乞われたことがあります。
時代は2000年代に突入しているというのに、なんという国なんだ!と大変ショックをうけました。(2003年だったと思います)

今、感慨にふけりながら「ハッ!」としました。

おばあさんにお金をたかられた場所、、、

まさに「バッカスおばさん」のメッカ、タプコル公園がある鐘路の仁寺洞でした(笑)

以上となります。
超長文、お付き合いいただきありがとうございました。
 [主要参考記事]
週刊東亜 https://weekly.donga.com/List/3/all/11/62065/1 https://weekly.donga.com/List/3/all/11/62065/1
中央日報 https://www.joongang.co.kr/article/4054562#home
朝鮮日報 https://www.chosun.com/site/data/html_dir/2001/03/26/2001032670269.html
ウェルフェアニュース https://www.welfarenews.net/news/articleView.html?idxno=15654