日感アルダ

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韓国の高齢売春婦「バッカスおばさん」の今を探る〜タプコル公園(鍾路3街)に行ってみた【韓国旅行2023年】박카스 할머니

今から2年前、コロナ禍真っ只中の2021年の8月、「バッカスおばさん」について調べ物的ブログを書いた。

ネットニュースの拾い集めと過去の記憶の取りまとめとなってしまい、結果的には韓国に対し悪印象を与えるだけの内容になってしまったことが引っかかり、

「よし!コロナ禍が明けたらおばさんたちに会いに行こう。」

と、心に決め、それから2年後の今年の3月4月の2回、韓国にバッカスおばさんやおじさんの様子を見に行く旅が叶った。

本日はその旅のまとめを書いていきたいと思います。
(前記事を読んでいただいたことを前提でサクサク書いていきます)

宗廟前の公園

2010年の旅行で宗廟を訪れた時、その手前のだだっ広いコンクリートの地面で碁に興じる大量のおじいさんと厚化粧のバッカスおばさんらしき女性たちを見かけた広場。
そこは過去の様子を微塵も思い起こさせることが出来ないくらいに美しく変身していた。

※10月の渡韓時に付近の写真撮ってきます。4月に行った時はツツジが艶やかに咲いていました。

タプコル公園

仁寺洞方向から見て存在を感じていたタプコル公園(別名パゴダ公園)。
今回の旅では、鍾路3街駅方向に位置する「三一門」から開門とほぼ同時(朝9時)に公園内へ。

開門を待つおじさんたち

おばさんも吸い込まれる

ここは「三・一独立運動」が始まった歴史的な場所なので、被っていた帽子を取り、各記念碑に一礼をしなが見てまわる。

独立宣言リーダー孫秉熙の銅像

門を入って奥にある八角

開門9時、おじさん・おじいさんたちが次々とやってきて、特に話をするわけでもなくそこらに腰掛けはじめる。身なりもきちんとされており、日本であれば元気にデイサービスで体操している年齢層の普通の方々だ。

韓国社会における高齢者男性の居場所のなさ・孤独な様子がひしひしと伝わる。

おばさんも数人見かけたが、公園内にいとどまっている感じには見受けられなかった。
夕方、門が閉まる前に覗いたが、やはり同じ感じ。

昼の鍾路3街駅周辺

午後、ソウルの別エリアから戻ってくると、鍾路3街全体がおじさんたちであふれかえっていた。

公園の前の大きな道路(鍾路)の歩道ベンチにたむろするおじさん。

タプコル公園の外周付近。朝鮮将棋(チャンギ)をやっている。
公園付近(近くの敦義洞エリアなど)に住んでいる人と寂しさを紛らわすために他エリアからやってきたと思しき人が混在。

場所は「三一門」から見て右側の外周付近

さて、肝心の「おばさん」たち。

公園の前の歩道を左に曲がったマクドナルド前(地下鉄鍾路3街駅1番出口付近)に、一定の間隔を保ちプラスチック椅子(屋台とかで見る椅子)にずっと座っている。

揃って赤やピンクの目立つアウターを着ているので、観光ガイド的なボランティアに見えなくもない。

そこで私は観光客感全開で近づいて行ったが無反応を決め込まれた(笑)

改めて見ると荷物の少なさが逆に違和感でしかない。

同じ付近にいたピンクのジャンバー姿の別なおばさん。

鍾路3街は夕方から夜にかけて飲食店が賑わう街。
こういった派手なタイプの山登りファッションの女性は、観光客目線からも異質に感じた。青い手提げ袋の中身も気になるところだ。

暫定バッカスおばさん。

夜の鍾路3街

バッカスおばさん

まだ肌寒い3月の夜。お昼と同じ場所を通りかかると、いた。
一般店はシャッターを閉じ、飲み屋街がギラギラする時間帯だ。歩道の暗がりに腰掛け厚化粧で派手目なファッション。60代後半くらいだろうか?2人確認できた。
需要があるのか?時間帯が悪かったのか?翌月に通りかかった時は会うことができなかった。

フクロウ&リスおばさん

鍾路3街の夕方から目立ってくるのが、お洒落をして気合い満々の高齢者男性と楽しそうに腕を組んで歩くおばさんの不自然なカップルたち。

これこそがバッカスおばさんに変わるニュータイプのおばさん(フクロウやリスなどの小動物系の可愛いばばあ)だと確信。

オッパ(お兄さん)は沢山いるが、ヨボ(旦那)がほとんどいないのが鍾路3街なのかもしれない。

前に、韓国のとある記事で、おじさんがおばさんとデートする際に露天でブローチなんかのちょっとしたアクセサリーをプレゼントにと購入する、、、との話を読んだのですが、鍾路3街は貴金属街でアクセサリー屋が多く、お手頃価格のネックレスなどが店先に飾っている。なるほど!と今読み直して思っています。

バッカスおばさんを振り返る

前の記事(バッカスおばさん・おばあさんの全貌)にも書いたが、はじめて韓国の貧しい高齢女性に出会ったのは、2003年。タプコル公園に隣接している街、仁寺洞で流暢な日本語でお金乞いをされたのが最初。当時趣(おもむき)のあった仁寺洞も今ではすっかり観光地化してしまい、面白みは減ってしまった。

派手服厚化粧の「バッカスおばさん」らしき女性をはじめて見たのは2010年(10〜12年頃)。宗廟に行くため鍾路3街駅で下車し、正門前のコンクリート広場ですし詰めで碁を打つおじいさん集団の離れた木陰にいる違和感のあるおばさんを発見。その宗廟公園を含め周辺は大規模な改修工事に入り変貌を遂げ、おじさんもおばさんもいなくなった。

2019年末、世界中の人々の生活が一変。世界中が不安と貧困に包まれた。宗廟公園がなくなりコロナ禍で集うことが禁止されても、タプコル公園には寂しさを埋めるおじさんと生活苦で身を安く売るおばさんが絶えないことをニュースで知る。
〜その頃日本でも、深刻な貧困から高齢者女性の物乞いや若年者の乞食が出没。パパ活女子の裾野が広がった。その後トー横キッズや立ちんぼ女子が出没。

2023年、こうしてバッカスおばさんに会いに韓国に訪れて見たのだが、路上売春問題や精神的な寂しさを埋める問題は、完全に日本のほうが深刻であるという印象を受けた。

私がバッカスおばさんを見にタプコル公園に行くように、新宿に行ったついでに立ちんぼ女子やトー横を見学する人も多いかと激しく思う。

まとめ

帰国後に見つけた記事( 月刊朝鮮2023年4月)で、記者がおばさんと話をしているので、路上高齢売春婦は「いる」ということになる。

記事の締めくくりにあるが、外国人の私から見ても、韓国の高齢売春婦と公園に集う孤独なおじさんは、年金や福祉が良い方向に進み、デイサービスや高齢者福祉センターのようなものができれば減少していくと思われる。

ここで解決しがたい問題に気づく。

高齢者の性問題だ。

確かにバッカスおばさんの行為は違法ではある。
しかし、高齢者が腕を組んで楽しそうに歩いて様子や、ラブホテルに吸い込まれていく後ろ姿、明け方の食堂で「オッパ」と甘い声で呼びかけ会話しながら食事をしている様子を間近にすると、同世代のカップルが互いの隙間を埋め合っている様子は好感でしかなかった。

平均寿命が伸びに伸び、人生百年時代と大騒ぎされているのに、高齢者のセックスや恋愛について論じられることはあまりない。

女性は推し活という便利な言葉で活き活きシニアライフを過ごしているが、男性にだってその権利があると思うのだが。

バッカスおばさん&韓国の高齢男性の様子から学んだ。コマッスムニダ。

〜以上となります!
次の韓国旅行は10月下旬。地下鉄1号線車内で物売りしている人から実際に購入してみるのを目標としてます。会えるといいな🎶