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ビートたけし主演「血と骨」あらすじ・感想〜屈折した家族制度【考察】

どうも、ぷんおです!

ビートたけし主演の「血と骨
色々と激しいシーンが多く、今じゃ考えられない(色々と)豪華キャスト。
昔の作品ですが、気になっている人も多いのではないでしょうか?

色々な観方があると思いますが、今回は当時の韓国の“父系血統”重視の家族制度という点から切り込んでみます。

基本情報

題名:「血と骨
公開日:2004年11月6日(日本)
監督:崔洋一
脚本: 鄭義信崔洋一
原作:梁石日
キャスト:ビートたけし田畑智子新井浩文オダギリジョー鈴木京香寺島進國村隼濱田マリ柏原収史中村優子

あらすじ(観たまままとめ)

※太字があらすじ、普通文字が時代背景・考察感想となります。以下ネタバレになりますのでご注意下さい。

大正12年、韓国の最南端にある済州島からやってくる若かりし頃の金俊平。(伊藤淳史
〜この頃の済州島は1910年の韓国併合で日本統治下(1945年まで)俊平の乗っていた船の名前は「君のよ丸」。済州島大阪市を結んでいた貨客船の「君が代丸」(1922〜1945年運航)かと思われます。

俊平(ビートたけし)は、英姫(鈴木京香)を手籠めにし結婚するが、家には金を入れず、日々飲み歩き。気に入らないことがあれば暴力を振るう日々。
〜英姫は16歳の時に故郷で結婚をしたのですが、旦那はなんと10歳!(当時の朝鮮の早婚習慣)我慢ならなく島から日本人へ娘(長女)とともに飛び出し、岸和田の紡績工場に務めますが、不倫&妊娠で工場を追われその後俊平と結婚。

金俊平一家は、妻の英姫、済州島で産まれた連れ子の長女「春美」、長男の「正雄」(新井浩文)、「花子」(田畑智子
第二次世界大戦(1939年)の開始から、部落の様子にも変化が訪れていきます。長女の春美は、出征前の朝鮮人の男性と結婚。俊平は、自分に似ず“長男”らしくない正雄と自分の子ではない花子に不満。

突然ふいっと家を出て行方知れずになった俊平。戦争が終わり家族も忘れていたころに突然帰宅し「蒲鉾工場」を開業。強靭な肉体と胴欲さで商売は成功。巨額の富を得る。
〜戦時中はナマモノが手に入りづらいので日持ちのする加工食品(缶詰含む)の需要があったようなのですが、俊平はどこで蒲鉾技術を身に着けてきたのかは謎。工場では信義(俊平の唯一のり会社)をはじめ数人の職人を雇うが、薄給で過酷な労働を強いるばかり。

済州島で人妻を寝取って産まれた武(オダギリジョー)が、突然家にやってくる。ヤクザ者の武は、事あるごとに自分の出生の話をダシに金をせびるが絶対に貸さない俊平。
〜武はなにもしないで家にいるのですが、正雄や花子の面倒をよく見ていて、特に直系である正雄をかわいがっていました。武は“血縁”とは無縁の生活をしていたのでその辺の喜びが感じられました。その反面、父親との関係はうまく行かず、俊平への金の無心で愛をはかっているようにも見えました。
〜俊平は無言で武を家に住まわせるのですが、働く様子もなく自分とは正反対の生き方をしている武へのやり場のない苛立ちが。武が家を出た10日後、武はヤクザに狙われ命を落とすのですが、そういう宿命を本能的に感じ取って“血縁”の元へと行ったのでしょうか?

ある日、広場で部落の酒宴が催されみんな楽しそうに談笑。
そこに一頭の大きな豚が吊るし上げられ、俊平は整然とそれをさばいていく。
〜協調性がなく厄介者の俊平ではありますが、人々もある種の尊敬の念があり、俊平も部落にしっかり帰属している様子が伺えるシーン。
〜この後、俊平は“豚の臓物”を一斗缶に入れ、ウジをわかせたものを滋養強壮食として愛用する様子が映ります。自分の武器である強靭な肉体を維持するための滋養強壮のオリジナルフードかなんなのか不明ですが、金への執着と同じくらい恐ろしく狂気が感じられます。

本宅の近くに家を借り、女(清子)を囲う。これみよがしに連れまわる。なかなか子どもができない女に、一斗缶に入ったウジの湧いた臓物を無理やり口にねじ込む。その後清子は脳腫瘍になり、半身不随状態になるが俊平は面倒を見続ける。
〜英姫の当てつけという感じもありますが、純粋に自分を愛してくれる清子の存在は大きかったのかもしれません。ただ、子どもができない。精をつけさせるためにウジの湧いた臓物を食べさせる。この辺から、自分の血を引く血(できれば男)を残したい狂気が伝わってきます。

長男の正雄(新井浩文)はますますフラフラとした生活を送るようになる。その不甲斐なさに苛立つ俊平。花子へ当たることが増え、決定的に血の繋がらなさが露呈。花子は自殺未遂。その後、蒲鉾工場を木っ端微塵にし閉業。金貸し業一本で更に病的に金へ執着する。
〜更に家庭崩壊。花子の件で蒲鉾業を辞めたようにも見受けられるが、血縁が散り散りバラバラになり頼れるものは“金”しかないとなったのか?お金の件で同胞の仲間を追いやったりと行動が過激になっていきます。

定子(濱田マリ)雇い、清子の世話をさせる。定子は俊平の子どもを次から次へと出産。そして待望の“男の子”が生まれる。俊平は清子を殺める。
〜定子に愛情はないが、自分の子どもをポンポン産む。そのうちに“男児誕生”の期待が高まるといった感じです。
〜清子は半身不随になって会話もできないのだけど、俊平への愛情は失せない。俊平は清子を手に掛けるのだけど、邪魔になったのかもしれないし、そのほうが清子が楽になるのでは?との思いがあったのかも?・・・この辺のやりとりが個人的見どころのひとつでもあります。

正雄は俊平に絶望し家を出る。花子は旦那の暴力に悩まされ正雄を頼るが、冷たくあしらわれ首吊自殺。
〜正雄は清子殺害現場を目撃してしまったのと、積年の憎悪で家を出ます。花子が思いを寄せていた男性は共産主義に感化され、帰国事業で北朝鮮へ。惰性で結婚したが不幸な結末に。
〜花子の葬式で俊平は、俺の子どもだ!(なんていうことをしてくれた)と大騒ぎして場をぶち壊すですが、いつもの傍若無人というよりも、“血縁ではない子ども”への愛のようなものも感じ、なかなか複雑なシーンでした。・・・そして、ここで俊平は“アタって”しまい足がマヒしてしまいます。

俊平の体が不自由になったことをいいことに、金を持ち逃げする定子と子ども。独りになった俊平は、言うことをきかない体を引きずり取り立てに奔走し更に金の亡者に。本妻の英姫が亡くなるが葬式にも立ち会えず寂しい晩年を過ごす。
濱田マリの屑っぷりが好演技。俊平たち(朝鮮人)より下層階級であるなんともいえない感じ、、、生きる力だけが備わっているというか、、、ここで長男が連れて行かれたということに落胆。英姫の入院費を一銭も出さすにいたので後ろめたさもあり葬式にも出れず、、、。

数年後、すっかり老いた俊平は信義とともに、長男・正雄の元を訪ね、借金の肩代わりをしたので自分の金貸し業の跡を継ぎ、その分を働いて自分に返済するよう諭すが、聞く耳持たずの正雄。
〜押し付けがましい論法で、“家業”継がせたいというエゴでしかないのですが、残された長男の正雄に対する思い(自分本位だが)が強いことが伺える。連れの信義が「金俊平の息子だろ!」と一蹴するのですが、古い朝鮮の家族制度の価値観は、新世代の正雄に届くわけもなく、、、

結末ネタバレ

定子との間にできた龍一を連れ去る俊平。
《ドイツ製製版記5台、自家用車5台、2トントラック5台、日本円7,000万円、セイコーの腕時計100個、衣類・靴財産、日本円で7,000万円》
〜俊平は、今まで執着してきた「金」と「財」をあっさりと北朝鮮に寄付し「地上の楽園」へ、、、

すざぶ雪。粗末な小屋のベッドに仰向けの俊平。腰を上げ外に出て、地面に穴を掘る龍一(伊藤淳史

考察・感想

自分の血統を絶やさず、その地に骨を埋めていきたいといった感じでしょうか?

戦前の朝鮮の「家族制度」に対するがどのくらいのものなのかわかりませんが、俊平の直系男子に賭ける思いは尋常ではなく、自分のように強い男児を望むのだけど、長男の正雄もはパッとせず、突然現れた武も風来坊、最後に授かった龍一はというと、、、。全員が期待外れ。前述の家族制度が皮肉めいても思えます。

この作品は、同名原作小説作家の梁石日氏のお父さんがモデルということなんですが、実際、全財産寄付して北朝鮮へ行かれたということなんですよね。どういう心境の変化だったのかしら?

俊平が済州島で家族がいなかったり恵まれた家系でなかったら、日本で新しい家族を作って自分の血を脈々と受け継がせようと思い立ったのかもしれないし、元々朝鮮民族にDNAレベルで刻まれている思いなのかもしれないし、、、色々考えてみるのですが、俊平の家族制度への思いはねじ曲がっていると思います。

実際に梁石日氏の家族に愛(対父への)があったかどうかは謎ですが、映画版の俊平(ビートたけし)はそれほど冷徹でもないし、なんとなく家族への愛情表現が屈折した形で出てきているような感じだったのでそういう演出だったのかな?といった印象でした。

個人的には、原作小説のほうが映画より断然迫力がありました!
映画ができる数年前に小説を読んだのですが、本の中の俊平は巨漢で獰猛な感じ。毛皮の羽織物を着てヒグマのような印象だったのですが、映画版はというと小柄なビートたけし氏だったので、正直「ん?」というのが印象でした。

まとめ

ショッキングなシーンが多い作品なので、そこに目が行っちゃうかもですが、家族制度への執着にフォーカスした観方も面白いと思いますし、こだわり続け築きあげた全財産をあっさり北朝鮮に寄付できてしまったのはどういう心境だったのか?という定番的疑問を見出すのも面白いかもしれません。

以上となります。お読みいただきありがとうございました(^ω^)