日感アルダ

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「ミスター・グッドバイ」あらすじ・感想【韓国ドラマ】ネタバレ

元祖韓流スター!今も人気の「アン・ジェウク」の作品です。

療養後(くも膜下出血)のドラマ復帰作として彼が自ら選んだ作品ということで“命の重み(リミット)”を感じる作品でした。

※作品DVDジャケット写真の左からイ・ボヨン、アン・ジェウク、チョ・ドンヒョクとなります。

以下、ネタバレ含みのオチありなのでご注意ください。

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基本情報

放送:2006年5月22日〜7月18日(KBS)全16話
原題:「미스터 굿바이」
脚本:ソ・スクヒャン(代表作「パスタ」「ミス・コリア」等)
視聴率:裏番組の「」に惨敗。

キャスト

ユン・ヒョンソ(アン・ジェウク

韓国エンパイヤホテル常務。
幼い頃米国へ養子に出された韓国系米国人(英名はデビット)
そのような境遇から韓国や愛情に対し否定的な感情を持っている。
金さえあれば何でもできると思っている反面それに群がる人々を軽蔑している。
不遇な生まれではあるが、努力と明晰な頭脳で社会階級を登りつめラスベガスのニッコウホテル(日系)の買収で更に力を発揮し実力を見せつける。
大学時代は遊ぶ暇も寝る間もなく勉学とバイトに明け暮れ学費や生活費を捻出していた苦労人。
弟のロニーとは血の繋がらない兄弟(ロニーも海外養子)

チェ・ヨンイン(イ・ボヨン)

ひょんな事でエンパイアホテルのコンシェルジュになる。
家族は母と弟。父は浮気で離婚。一家の生活を担っている。
ひとりでご飯を食べるのが大嫌い。
お客様の気持ちをいち早く察しし喜ばれる対応を取ることができるが、肝心のヒョンソの心情には全く鈍感。
明るく世話好きだが、超ガサツ。相手の気持ちを考えず自分の正論ぶつけてしまうタイプ。
あだ名:落下傘(낙하산〜コネ入社)、無鉄砲(ポクチャ 복자〜福女?)

カン・スジン(オ・ユナ)

心臓外科医。シングルマザーで息子のユンと暮らしている。
大学時代のヒョンソのマドンナかつ親友。その時は他の人と婚約中であったが、ヒョンソに想いを寄せていた模様(身分の差で叶わぬ恋感)
精子バンクからヒョンソのものを選らび彼に内緒で勝手に出産。
心臓を患うヒョンソと再会し家族として暮らしたいという思いがつのり同居を持ちかける。

カイル(チョ・ドンヒョク)

ヒョンソと同じラスベガスのニッコウホテル出身。
エンパイアホテルへ移りコンシェルジュチーフとして勤務。
ラスベガスで出会ったヨンインに恋心を抱き支える。
父はニッコウホテル会長のヤマザキサトシ。母は韓国人。
ホテルの大株主なので内情に詳しくヒョンソの動きも熟知。
自殺した父の残した「よそのホテルで自分の力でやってみろ」との言葉にエンパイヤホテルへの異動を決める。イケメン。日本語堪能。お客様第一主義。

あらすじ

 マラソン大会で優勝し、ラスベガス行きの旅行券をゲットしたヨンイン(イ・ボヨン)。出発当日、一緒に行くはずだった彼氏の親友との浮気が発覚。ひとり泣きながら飛行機に乗り込むハメになる。

トランジット空港のロビーでロニーという同性愛者の男性とその婚約者の男性と知り合う。最初は戸惑うが偏見なく接するヨンイン。3人はすっかり仲良しになる。

ロニーの兄は、ヒョンソ(アン・ジェウク)。
弟の婚約者をヨンインと勘違いしてしまい、ヨンインは話を合わせざるを得ず、3人と行動を共にする。

「愛なんてくだらない」と冷たく金で物事を片付ける考えのヒョソンの態度に憤りつつも、弟の気持ちを理解し幸せを願うように諭すが聞き入れてはもらえず諦める。

職場でヒョンソは韓国のエンパイアホテルに半年間の異動を上司は良かれと思い打診されるが、母国への嫌悪感からそれを拒む。

「ホテルは生き物だ。主人に似てくる」との冷酷で買収ばかり考えている自分への苦言とも言える言葉を残したニッコウホテルの会長は、その後自殺してしまう。

会長の死を知り、命について考え始めるヒョンソ。

出席しまいと決めていた弟の結婚式の式場に駆けつけるが間に合わず既に終了。会えずじまいで落胆。

それを機に思いが変わりはじめ(〜生命への執着と愛への憧れの芽生え)、嫌味嫌っていた祖国韓国の「エンパイアホテル」行きを引き受ける。

仁川行きの飛行機でヒョンソとヨンインは偶然隣の席になる。
乱気流で機体が激しく揺れ、心臓が悪いヒョンソは激しい胸の痛みを訴え、「死にたくない」という本音の言葉が思わず口から出る。ヨンインの機転で飛行機はUターン。ヒョンソは大事に至らずに済んだものの、恩人のヨンインには冷たくお金で解決しようと提案する。

ヒョンソはエンパイアホテルの常務に就任。そこにラスベガスで一緒だったカイルも、父親の遺言どおり自分の能力の腕試しをするためコンシェルジチーフとして着任する。

そこに失業したヨンインは何も知らず2人のいるホテルのエステサロンの面接を受けにくる。その帰り道ヒョンソと鉢合わせ。ヒョンソはヨンインが謝礼をタカりに来たと勘違いし「幾らほしいのか?」自分を値踏みしているようなその態度に立腹。

ひとりでご飯を食べることが嫌いなヨンインはヒョンソを夕食に誘い、6000ウォンのチゲをおごってもらった後に、2軒目の屋台へ。
酔っ払いながら、飛行機で助けた謝礼として「夕食を1万回(30年分)毎日おごって」と言う。
ヒョンソが席を外れ、戻ってくると既にヨンインの姿はなく、代わりに6000ウォンがテーブルに置かれている。そんな自分の財産を求めてこないヨンインに好感を抱く。

その時、自分の命を助けるために損害を受けた飛行機会社が、乗客の命を救うのは航空会社として当たり前と、自分が提示した保証金6000万ウォンを辞退したというニュースが、お金で信念が揺るがないヨンインのプライドが重なり、更に自分の命や愛に対する価値観が変わっていく。

ヨンインをコンシェルジュ見習いとして採用したヒョンソ。周りからは落下傘(コネ入社)と周囲から陰口を叩かれてめげながらも頑張るヨンイン。上司のカイルもその姿とコンシェルジュとしての可能性にますます好感を寄せる。

職場では孤立状態。ひとりでご飯を食べるのが何よりも嫌いなヨンインはコンビニでひとりカップ麺をすする。

その姿を偶然目撃したヒョンソ。見なかったことにして帰ろうとしたが、彼女がいるカウンターの隣に座り、話しかけるという今までの自分にありえない行動を取ってしまう。仕事から離れた彼女との子供みたいな楽しいやり取りで満面の笑顔のヒョンソ。

その時、テレビでは海外養子の行方や離散家族を探す「尋ね人番組」が、、、。
息子と母親が抱き合って泣いている姿をじっと見つめるヒョンソ。

ヒョンソは否定しながらもすっかりガサツで生意気なヨンインのペースに巻き込まれて行く。2人でいると胸がドキドキとし、心臓が針で刺されているような心地よさを感じじ(心臓が悪いのと別な脈)ついに「誰かを信じたり、好きになることをしたい」と思うようになる。

ある日ホテルに食事に来た元カレと元親友と鉢合わせになるヨンイン。
物分りよく身を引いた別れたくない自分の本音をぶつけ、
「とことんやろう三角関係を!しようじゃないの!」と喧嘩腰に叫ぶ。

そこに横にいたヒョソンが「俺は?」とつぶやく。

すっかり感情的になっているヨンイン。
「じゃあ参加して!人の気持ちは変わるもので、あなたを少し好きになってきたからあなたも参加して!」と意味不明な呼びかけに。
続いて「空港では恋人のフリだったけど今は違うわ。あなたも好きよ。気軽に付き合えるし放っておけないから」とヒョンソへの恋の思いの本音が出てしまう。

「とことんやろう!」「参加して!」というヨンインの恋愛に対する真っ直ぐな言葉が胸に響いたヒョンソは意を決し、自分の素直な思いやをヨンインにぶつけるようになる。

ヒョソンに思いをよせるが主治医や親友としてしか見てくれないスジンは、嫉妬抱くようになる。それが手伝ってか今まで沈黙を貫いてきた息子ユンが(6年前に精子バンクでヒョンソの精子を無断でドネーション)実の息子であることを告げるが、ヨンインを愛しているのでスジンとは一緒になれないが、同じ父親がいない境遇のユンに父としての役目を果たしたいので米国に連れて行くという。

実はヒョンソの心臓は今にでも再手術が必要なくらい深刻で、飛行機にも乗るのが危険な状態。医師の説得も聞かず「死んでも行く」と出張に旅立とうとするが、歩き途中でどうしても「生きたい」という思いがつのりUターンする。

・・・1週間の予定が1ヶ月経っても返ってこず。時は経過。

その期間、ヒョンソは国内で密かに手術。家で孤独と痛みに絶えながらひとり療養。
カチカチと針を刻む時限爆弾のような心臓。ドナーが現れるのを待つが、それまで命が持つかもわからない。

自分の命が長くないと思い「ソウルも君もつまらない」と一方的にヨンインに別れを告げるが、ヒョンソの会社のデスクにあった書類から心臓病のことを知り、一緒に暮らせる時間が短いと悟り、追い出された同棲先のマンションへまた押しかける。

なにもかも好みが違う正反対の2人の生活が再開。

カチカチと自分の余命を計るように時を刻むピンクの掛け時計を外したがるヒョンソ。彼の気持ちを推し量るなんてことはせず、私は時間が知りたいから駄目!というヨンイン。

息子のユンを家に連れてきて3人で川の字になって寝転ぶ。

朝、ヨンインは普通に起きて2人のために料理をするが、壁の時計が止まっている。

ヒョンソが電池を抜いたのであろうといぶかしげに裏を見るが電池は入っている。

けげんな顔で時計を見つめるヨンイン。
心臓の時計が止まって寝ているヒョンソ。

作品から読み取る時代背景

◆旬な設定

定番の「海外養子」問題 、心臓移植問題(韓国で臓器移植が合法になったのは2000年にと歴史が浅い) 、同性愛者カップル 、精子バンク使用の未婚の母、、、

話題性のある設定が数多く盛り込まれているのですが、そこまで話題にはならず、定番の「海外養子」設定がこの頃安易に使われ全体的に問題になっていたようです。

◆ホテルの買収劇

この作品に登場するニッコウホテルは、日航ホテルを彷彿とさせます。実際日航は2004年に民事再生し買収されてます。

ぷんおの感想

人生において人を信じることや誰かを愛することを拒絶してきた男が自分の余命を悟った時に、実はそれらを切望していたことに気づき素直に向き合っていく姿が印象的でした。

今、『星に願いを』の配信が始まり若い頃のアン・ジェウクの演技を再観しているのですが、この頃からずば抜けた演技力だったんだなぁと改めて感心しています。

今も若い頃の良さはそのまま。歳を重ねるごとに渋みや温かみを増し素敵だなと思いました。今、CSで『マウス』(2021年)が放送されているのですが、苦手ジャンルだけど観てみたいなと思います。

<残念ポイント>
イ・ボヨンの演技力が未熟だったせいか、ヒョンソの今までの人生が反転するくらい彼女に惹かれる要因がガツンと伝わってこず残念。

(加筆:2022年8月25日)